必要な介護サービスが打ち切られたり、低下したりすることが、あってはならない。
虚偽申請などの不正行為で、介護事業からの撤退を迫られた訪問介護大手「コムスン」の事業譲渡先が決まった。
訪問介護などを行う全国約1000の事業所とそのスタッフは、都道府県単位で、同業大手の「ニチイ学館」など16事業者に譲渡される。
コムスンに対する厚生労働省の“退場処分”から約3か月でめどがつき、引き受け手が現れない地域もなかった。大きな混乱は、とりあえずは回避されたと言えよう。
問題はこれからだ。7万人に上るコムスン利用者の不安が、ぬぐい去られたわけではない。
コムスンは24時間いつでも応じる介護サービスが売り物で、多くの利用者が頼りにしている。他に同様のサービスをする事業者がほとんどないためだ。これが今後も継続されるのかどうか。
引き受ける事業者は、コムスンが取り組んできた「24時間介護」をきちんと継承することが重要だ。
不祥事を起こしたコムスン経営陣の姿勢は問題だが、現場のヘルパーへの評価は高い。その能力を生かし、各事業者は24時間介護を積極的に拡大することで、利用者の不安を一掃すべきだ。
コムスンの不正は、事業所を開設する際に、規定の人員がいないのに基準を満たしているように虚偽申請したもので、順法意識を欠く悪質な行為だった。厚労省と都道府県は、監視や指導を強化して再発を防止しなければならない。
ただ、背景にある問題として、現行の介護報酬では職員の待遇を改善できず、その結果、業界全体が深刻な人手不足に陥っていることも指摘されている。
介護職場の平均月給は約21万円にすぎない。介護保険制度が始まった2000年当時は不況で、低賃金でも人材は集まったが、景気回復とともに他業種に流出している。介護福祉士の国家資格を持つ人は47万人もいるのに、実際に介護分野で働いている人は27万人しかいない。
虚偽申請は論外だが、退職者の穴を埋められず、結果的に基準違反が続いている事業所は少なくないと見られる。
高齢化が進行して介護を必要とする人が増える中で、介護職員を十分に確保していくには、一定の給与水準を保証できるように介護報酬を組み立て直すことが必要ではないか。
介護保険の無駄な給付や不正請求の一掃にも、同時に取り組むべきであることは言うまでもない。
出典:読売新聞
PR:
ケアマネージャー 資格PR